ダメコミの方法
「ひと筋」と「サッシ」の取り合いの部分です。
サッシ側から1ミリの巾で下塗りを逃げています。
黒く細く見えている部分が旧塗膜です。
調子がいい時は、この様に定規を当てたような直線が引けます。
この様にサッシ等とからみのある
「ひと筋」に
下塗りを入れる時は1ミリか2mm逃げて下塗りを入れるようにしています。

下塗りの段階でサッシ側にピタリと寄せてしまうと、
その下塗りの色を隠すために、上塗りで必要以上に緊張しなければなりません。
上塗りも私がやるならば問題ないのですが、
私一人で仕事をしている訳ではありません。
この逃げた1ミリは、後からこの部分を塗る人に対しての私の思いやりです。
うちの親父はよく
「そこは髪の毛一本逃げろ」とか「ここは髪の毛2本でいいぞ」
等と言っていたものです。(あくまでも気持ちの上で)
昔は今と違って「クロス」と言えばそれはビニールクロスではなく
「本物の布」を使用していました。
少しグレードの高い洋間はほとんどがこの仕様でした。
天井廻り縁、カーテンボックス、窓枠、ドア枠、巾木、
等はすべてラワンの着色、ウレタンワニス仕上げでした。
建築ラッシュの当時では仕事が後先になる事も多く、
経師屋さんの後に仕事をする事もよくありました。
そのような時、このダメコミ方法はとても役に立ちました。
ピタリと寄せてしまうとクロスのケバがステインを吸い上げてしまい、
クロスに染みを作ってしまいます。
かといって逃げすぎると、その隙間が白く残ってしまう
(当時は着色と言えば茶色でした)
ところがギリギリのラインを入れていくと、
時間とともに材木がステインを吸い上げてくれて
その隙間を埋めてくれるのです。
そのギリギリのラインを刷毛でダメ込んで行くスリルは、例えようもないものでした。
今の人にこのような事を言っても意味が無いのですが、
せめて「いっぱしの職人」を気取るなら
1ミリ逃げろと言ったくらいで「目を点」にしないで下さい、
1ミリは、あなたが思っているほど細くはありません。



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